Hinaの海外奮闘記

2023年秋からリトアニアで博士課程留学中。2023年にイギリスの修士課程終了済。

論文・エッセイ執筆環境まとめ 〜文献管理・執筆・資料整理〜

 

イギリス修士時代にエッセイ地獄や修論での莫大な量の参考文献に苦しめられました。執筆自体も大変でしたが、新たに学ぶことや知識をまとめる場所、参考文献をどうまとめたらいいか、という「執筆以前の情報収集」にも苦しめられました。

色んな方からアドバイスをいただき、試行錯誤する中で、自分の中でしっくりきたのが今のやり方なので、資料の集め方〜論文執筆まで、トータルの執筆環境を共有できればと思います。環境構築に参考にしたサイトとかも。

今のがベストとは思ってはないですし、人によって好みがあります。これからも改善していきますが、私と似た様な方の参考になれば幸いです。

 

執筆環境概要

私の論文執筆環境ですが

①文献管理(執筆時の引用を容易にする用)→Zotero

②文献情報の自分用整理→Excelの表

③執筆にあたってのメモ・下書き→Scrivener

④改稿・清書用→Word

のように4つのアプリを使っています。

順番に具体的な使い方を解説します。

Zotero(文献管理・引用容易に)

皆さんご存知の文献管理ツール。だいたいEndnoteかMendeleyかこれか、という人が多いと思います。私はEndnoteから乗り換えましたEndnoteは有料なので、大学が無償提供していても卒業していたらライセンス切れることになってしまいます。おすすめしません!!常にどこかの研究施設に所属していればいいですが、そうもいかないので、個人でずっと使えるアプリのが個人的にいいかなと思います。

Zoteroの特徴は

・無料

・使い方はEndonote的にWordにバンバン入れられる

Google Chrome拡張機能でワンクリックでPDFも文献情報もダウンロードできる

・無料のクラウドストレージで文献情報を保管できるので、複数端末からアクセスすることが可能(※1)

で、この辺が決め手で乗り換えました。

(※1)PDFのデータは容量制限あるので、私は個人のGoogle Driveを論文PDF保管用に指定しています。これもワンクリック時に自動的に保存されるように設定可能です。

拡張機能で(紫のENの横の)書類みたいなマークをクリックすると保存されます、便利!

とりあえず、論文を書く前段階として論文を読みまくる時は文献データをここにバンバン保存して、清書時にこのデータをWordに移植します。

(↓Zotero公式サイト)

www.zotero.org

(Zoteroの使い方参考にしたサイトはこちら↓)

【令和最新版】文献管理ソフト Zoteroのすゝめ|SD

EndNoteは買いたくないあなたへ捧ぐ!文献管理ソフト徹底比較【Zotero / Mendeley / ReadCube Papers / Paperpile】|SD

 

Excelの表 (文献データを自分用に整理)

Zoteroはデータだけバーっとある感じで、大量にある文献をまとめるのは向いてません。そのため、私はExcelで文献詳細な一覧表を作っていました。論文を確認してZoteroにデータ入れたら、ざっとみた内容を表に入力します。面倒ですが、この作業をすることで、格段に文献を整理しやすくなりました。

Zoteroでもあるような筆者・論文タイトル・発行年以外にも、論文の系統(方法論?症例研究?レビュー?)や、私は生物系だったので対象としている動物種やそれらが野生なのか飼育下なのかということもまとめてました。この辺はご自身の専門や研究テーマによって柔軟に変えるべきです(私はエッセイ課題ごとに微妙に変えてました)。

実際に使っていたExcel表雛形

人によっては、要約等をこういった表に入れることもあるそうですが、私はこれはあくまで表として見ることを重視していて、細かい内容は以下Scrivenerで整理していました。

 

Scrivener(細かいメモ・資料を一元管理・草稿)

基本的にエッセイの草稿や細かいメモ、資料の整理はこちらを使っていました。大好き!!!これを教えていただいてから格段に作業効率上がりました、おすすめです!!

…でも「Scrivenerってなんぞ?」って方も多いと思うので少し説明を。

Scrivenerとは

Scrivenerは小説や論文等「長文作成を支援する総合的執筆ツール」です。

特徴をまとめると…

【メリット】

・買い切り

・大量のファイルや文章を構造化しまとめられる→複数ウィンドウ開きながら作業しなくて良い

・文章の入れ替えが容易

・別のファイル形式に出力できる(Word形式にできる)

・多機能(概要、文字カウント機能、脚注・コメント等自由に入れられる、概要に画像入れられる、数秒ごとの自動保存機能…などなど)

 

【デメリット】

・有料

・複数端末で使うことが想定されていない

・慣れるまで時間かかる

 

最大の特徴が「大量のファイルや文章を構造化しまとめられる」ということです。

メリット

私、論文やエッセイを書いていて最大のストレスが「複数ウィンドウを開いていちいち確認すること」だったんです。「あれ、この文章どの論文のどこ参考にしたんだっけ?」とか「あれ、このエッセイの採点基準なんだっけ?」とか。で、探してて永遠に文章書けない。みたいな。それが、Scrivenerで執筆するれば、メモ機能感覚で「じゃあ論文用に調べた統計のやり方はここにメモっておこう!」とかを、執筆してる本文の横に新しく文書とかフォルダ作って並べて置けるんです。画期的じゃないですか?

実際のエッセイの下書き。1番下で文書ごとに文字数カウントしてます

他にも、指導教官からのメールのやりとりをコピペしてメモしたり、間違えやすいをメモしたり…さらに、めちゃくちゃ使える論文等は、すぐ見返せる様に引用したい部分を章ごとコピペしてまとめたりしてました。引用するときにニュアンスが変わったりとかが1番怖いと思うので、すぐに見返せるようにしてました(だからExcelの表は最低限で、こちらを充実させてメモとってました)。Excelだとここまで文字数の多い情報は管理しきれないと思いますが、Wordとかメモ機能だとこういう複数ファイルを構造化はできないと思います。

また、論文って「とにかく書く!」ということが大事ですよね?でもなかなか始めが書けない。そんなときにもScrivenerは便利。ファイルが構造化できるから、とりあえずイントロと実験方法だけ項目作って…書けるとこから一文でも書いてみよう!ってできるんです。また、文書同士の入れ替えも容易なので、「とりあえずこの話は入れたいけど、構成まで考えられん…この箇所がけ文書つくってとりあえず書こ!」とかできるんです、すごい〜。

私の実際の修論の下書き。こうやって文書を並べて俯瞰することも可能。水色部分は箇条書きで文書ごとの概要をメモしてある。

デメリット

ただ、Scrivenerは有料なんです。買い切り方なので、サブスク料とかはかかりませんが、結構する。今、Standardmdだと8000円超えます。無料でお試しもできるので、少し試してみてから考えるのがよいともいます。

Scrivener公式サイトより

私は無料お試し期間に好きになってて買いました。でも、多機能ゆえに慣れるまで結構時間かかりますので、そこもデメリットかも。慣れればすごく使いやすいんですがとっつきにくいです。

また、これは使う時の注意なんですが、複数端末で使うことが想定されていません、複数ウィンドウで開くとクラッシュしてデータ消えるそうです。また、基本はローカルで保管する前提なので、クラウド保管するときはscriv. 形式ではなく、Zip形式で保存する必要があります(Zip形式ならどんなクラウドでも保管できる)。大量のデータを扱ってそれに付随するデータも複数あるため、安易にscriv. でコピぺしてGoogle Driveに載せるのは無理です。正式な手順でアプリから操作すると、Zip形式で自動保存してくれる機能があるのでそうしましょう。

このScrivenerのZip形式にしてクラウドと同期保存させる設定ですが、アプリの

設定→バックアップ→自動バックアップをオンにする→zipファイルで自動的にバックアップを圧縮

でできます。

実際の設定画面

私の使い方プロセス

実際に使うときは

 ①論文やエッセイのガイドラインをメモ

 ②文字数含めた構成を検討、それごとの文書つくる

 ③特に書きたいことを簡単に文章の概要にメモ

 ④書けるところから書く、調べつつ、メモ充実させつつ…引用論文もメモ

 ⑤下書き完成→Word形式に出力

としていました。意外と③が重要で、エッセイって書いてるうちに主題からそれがちじゃないですか?でも概要で「この段落ではこれ言いたい!」を最初から入れておくと、そこに立ち戻って全体を俯瞰しやすくなります。おすすめです。

すごく参考になったのはこちらのYoutubeで、博士論文執筆にScrivenerを使った方が実際のやり方を解説してくださってます。英語ですが、気になる方はぜひ。

youtu.be

(Scrivener公式サイト↓)

www.literatureandlatte.com

 

Word (清書用)

Scrivenerが便利とはいえ、世間体にはWordが主流なので指導教官に提出するときはこれ。Zoteroを使って引用論文データを入れてか下書き第1版が完成。その後は基本的にこれを修正していく形で完成を目指します。

 

最後に

ということで、私なりのエッセイ・論文の書き方でした。どなたかの参考になれば嬉しいのと、もしよさそうなのあれば教えてください〜。これからも模索は続きます。サービスや内容は変更になることがあるので、ご自身でよく確認してください〜。