
はじめに
イギリスで修士課程を修了し、現在はリトアニアで分子生物学・寄生虫学系の博士課程に在籍しています。この記事では、ヨーロッパ大学院留学を通して「読んでよかった」と感じた本・ウェブサイト・Audible教材をまとめました。
英語論文の書き方、英語学習、異文化コミュニケーション、イギリス・ヨーロッパ文化、研究生活向けまで幅広く紹介しています。理系研究者向けの本も含みますが、海外大学院留学を考えている方なら分野を問わず役立つ本かと思います。
特にAudibleの “The Great Courses” シリーズは、留学前のリスニング強化にかなりおすすめです。私はイギリスのAudible年間契約して本聞きまくってるんですが、これリスニングの練習にすごくいいです。2〜3倍速で理解できるようになると、ネイティブ同士の会話にもかなり慣れます。「もっと早く知りたかった…」と思ったので共有します。
留学を考えている人、留学準備中の人、留学中の人、海外在住の人の参考になれば!またもしおすすめ本あれば教えてください。良い本に出会ったら随時更新予定です。
- はじめに
- 英語論文の書き方・Scientific Writing
- Critical Reading and Writing for Postgraduates Mike Wallace and Alison Wray著
- "Writing Science: How to Write Papers That Get Cited and Proposals That Get Funded" Joshua Schimel著
- "科学英語論文の赤ペン添削講座―アクセプトされる論文を書くコツと鉄則" 山口 雄輝著
- "Think Faster, Talk Smarter" Matt Abrahams著
- "Academic Phrasebank by Manchester University"
- MCTAGGART, Iain, and Yuzo KOKETSU. "学生と科学者のための英語科学論文を書くことへ実践的ヒント." 明治大学農学部研究報告 70.2 (2021): 47-65.
- 生物学・医学系おすすめ
- 異文化コミュニケーション
- 世界の文化・政治
- 多言語編
- イギリスの歴史・文化編
- リトアニアの歴史・文化編
- 最後に
ちなみに普段論文を書くときに使っているソフトウェア関係、書き方の個人的流れはこちらの記事に載せています。
英語論文の書き方・Scientific Writing
Critical Reading and Writing for Postgraduates Mike Wallace and Alison Wray著
以前Sayaさんがおすすめしていて買った本。全部英語なんですが、何か1冊海外大学院で英語論文書くのでちゃんとした英語の本買うならこれおすすめするかも。学生としてどうやって論理的な思考をしていけばいいのか、どう文章を書いていくのかが詳しく載っています。大学によっては授業で使っているらしい?一気に読んで概念理解するというよりは、何度も読み返して使い込んでいくタイプの本だと思います。

"Writing Science: How to Write Papers That Get Cited and Proposals That Get Funded" Joshua Schimel著
この本、指導教官が教えてくれたんですがよかったです! 論文の書き方というよりは、いかに他人を説得できる文章を書くかということがメインです。細かい用語の使い方というより、ターゲット読者から構成をどうしていくか、という大きな枠で見ている感じの本です。論文だけでなく、助成金の応募や新聞記事、小説の書き方まで応用できることが沢山で、科学者だけでなく英語で文章を書く人全員、一度は目を通して欲しいと思います。まずこの本で伝わりやすい文章とは何か、の概念を掴むとよいです。

"科学英語論文の赤ペン添削講座―アクセプトされる論文を書くコツと鉄則" 山口 雄輝著
↑の本を読んでじゃあなんとなくの構成はわかったけど、じゃあどうやって英語の論文を書いていけばいいんだい?という人におすすめ。これはバイオ系に特化してるんですが、なぜこの書き方がいけないのか、どういうところを日本人は間違えやすいのか、というところを意識して書いてる本なので、初心者にこそお勧めしたい本。赤ペン添削でこの文どこがおかしいか?というのを視覚的にわかりやすく表現していてわかりやすいです。

"Think Faster, Talk Smarter" Matt Abrahams著
ラボのポスドクでとてもプレゼンが上手な人がいて。学会とかでのキーノートでも、わかりやすく、面白く話すんですね、Ted Talkみたいな感じで。その人に秘訣を聞いたところこの本を紹介してもらいました。これは、どちらかという、人とのコミュニケーションをより効果的に行う方法という感じで、アカデミアだけでなく、例えば普段のスモールトークとかでも発揮されるTipsが満載です。それも、人は緊張するは当たり前!じゃあどうやって克服するか?みたいなすぐに使える具体的な解決方法から、どんな話題にもついて来れる人になるには、常に日常でネタを見つけようとしよう、プレゼン上手い人にあったらなぜそう思ったか徹底的に分析、みたいな生き様まで触れている良書でした。これを読んだからといってすぐプレゼンがうまかくなるみたいなハウツー本ではないですが、より根本的な姿勢みたいなのを学べるというちょっと珍しい本でした。研究とか関係なく人類全員読んだ方がいいです!ちなみにAudibleで聞きましたが、ご本人が話されてて、さすがでした。

"Academic Phrasebank by Manchester University"
知る人ぞ知る(?)、マンチェスター大学が提供する論文で使えるフレーズ集を集めたウェブサイトです。項目ごとに、例えば結果を述べるとか場面別での表現も満載。IELTSでも使えるし、下手な本買うより語彙も用法も豊富なのでおすすめです。
https://www.phrasebank.manchester.ac.uk/
MCTAGGART, Iain, and Yuzo KOKETSU. "学生と科学者のための英語科学論文を書くことへ実践的ヒント." 明治大学農学部研究報告 70.2 (2021): 47-65.
これ偶然見つけてんですがめちやくちゃよかったです!!明大で教えている先生二人(日本人で米国で10年以上研究していた方と、イギリス人でイギリスで研究後日本に来た先生)が、長年日本人学生の英語論文を指導してきて「こういうところの間違い方日本人多いな!」と思った間違いポイントをわかりやすく解説。英語の論文なんですが、日本人の先生が全て日本語訳と解説をつけてくださってます。これ、研究とか関係なく英語学習者は全員読むべきです、aとthe, wasとhave beenみたいな、文法的に間違いじゃないけど、こっちの方がわかりやすい/文脈でのニュアンスが違うみたいな、ネイティブじゃないとなかなかわからない細かいところを、用例とともにわかりやすく解説しています。必読!!!!!!ただミスポイントに特化してるので、論文初心者はまず↑の本たちで構成とかは学ぶ必要あります。そのあとに読むと理解深まるかも?マンチェスター大学のフレーズバンクで当たりつけてから、あれ?用法おかしくないかな?という確認で使うと良いかと。
http://hdl.handle.net/10291/21758
生物学・医学系おすすめ
"大学生物学の教科書" D・サダヴァ著
皆大好きブルーバックスで日本語訳が出ているのでおすすめ。高校生からでもわかりやすい図解系が多いので、知識のブラッシュアップに持っているとよいですよ。
"Genetic Education"
分子生物学に関するいろいろな話題をわかりやすく解説しているウェブサイト。先輩が教えてくれてMolecular Systematicsのテスト勉強に利用しました。教科書的な解説というよりも、基礎から噛み砕いてくれるし、トラブルシューティング的な記事も豊富で(PCRでコンタミしちゃった、どうしよう!?考えられ原因と対策、的な)、分子生物学、バイオ、ウェットラボ系に関わっている人は通読すべきです。
リンク↓
https://geneticeducation.co.in/
異文化コミュニケーション
"The Culture Map: Breaking Through the Invisible Boundaries of Global Business"
Erin Meyer著
留学先では、多国籍な環境になることが多いと思いますが、コミュニケーションの仕方も文化差がある、そしてそれは、日本vs西洋みたいな簡単なことではなく、例えばヨーロッパ内でも違ってくる、ということを図示を持ち入りながらわかりやすく解説。例えば、ストレートな言い方をするか、間接的表現を好むか?ビジネスの場で、どうやって仲良くなるか?、国ごとに差があります。個人的に役立ったのは、会話での「沈黙」についてのエピソード。日本人って、話終わると一拍置いて(silence)、合意がなされたか、誰か話したい人がいないか確認しますよね。イギリスとかだと、むしろ盛り上がるために、他人の語尾に被せてくるんですよね、日本だと御法度ですが。最初はこのこと知らず、ディスカッションの授業で苦労しました。何で皆私の話を最後まで聞いてくれないんだろう、私に話させてくれないんだろうと、でも違って。向こうは向こうで私を黙ってばかりで会話に参加しないやつって思ってたんですね。こういう不幸な勘違いをなくすためも、海外渡航前に読むのおすすめします。
この時↓教えていただいたこの本とても良かった。多国籍チームでのコミュニケーションみたいな内容なんだけど、留学・渡航する(してる)人に一冊薦めるとしたこれだわ。全員読むべき。とりあえず日本が全ての項目で超例外的なのね。 https://t.co/d1OHVyycjG pic.twitter.com/FktcVeArcr
— Hina🧭🇱🇹 (@May69717392) 2024年6月18日

(Audible UK)"The Great Courses: Customs of the World: Using Cultural Intelligence to Adapt, Wherever You Are" David Livemore著
これはAudible UKのThe Great Courseの1つ。↑のThe Culture Mapを読んだ後に読むと理解が深まると思います。The Culture Mapは違いをわかりやすく解説していますが、これは「じゃあなんでそういう文化差があるのか?」を歴史的・地理的背景を含めて解説している感じです。The Culture Mapとかぶっている内容ももそうでないものもあり、両方合わせて読むと理解が深まると思います。

世界の文化・政治
"Prisoners of Geography: Ten Maps That Tell You Everything You Need to Know About Global Politics" Tim Marshall著
「それぞれの国は地理的制約から逃れられず、それが政治の方向性を決定づけている」という地政学の目線で世界の国々の関係を解説。多国籍な場で、旅行で、ニュースを理解するのに、きっと役に立つはず。最新版はロシアとウクライナの関係とかも網羅してます。太平洋に一番近い、アメリカの向かい側、という日本の地理的特殊性が浮き彫りになる章もあるので、これ読んでから↑の異文化コミュ系の本読むと色々納得すると思います。ちなみに「恐怖の地政学」というタイトルで日本語訳も出てます!

"Three Tigers, One Mountain: A Journey Through the Bitter History and Current Conflicts of China, Korea, and Japan" Michael Booth著
イギリス人の著者が、日中韓(少し台)関係を旅を通しながら考察していくエッセイ(なぜこの3国は仲が悪いのか、という問いを突き詰めていくルポ)。個人の思想というより、第三国の人間としてインタビューを通して考察していくというノンフィクションな感じの作品。個人的に日中韓関係について聞かれることが多い(なんで仲悪いのみたいな)けど、うまく答えられないことを歯痒く感じていたので、こう、どちら国の人間でもない人の目を通してかかれた本から学ぶことは大きかったです。世界的にに見ても、私たち東アジアの関係性は特殊で複雑ですね。個人的には留学先で仲良くなったりお世話になるのはやっぱり東アジアルーツの人が多かったので、各国の歴史を学ぶ直すとともに対日本だけでなく、それぞれの国の関係性も知っておくのは大事だと思います。

多言語編
"The Story of Human Language" John McWhorter著
比較言語学の本で、各言語の違いや類似性について解説。言語だけでなく、じゃあ蜂のダンスは言語なのか?みたいな根本的な問いにも答えててよかった。多国籍な環境だと英語以外の言語も必要ですよね。その時、各言語の関係性や、実はヨーロッパの言語もいろいろある!でも根本は一緒だったみたいなのを知っていると一気に理解が深まります。
あと、これ日本語についても解説あるんですが、まあなんと他の言語グループと隔絶荒れていることか。留学生同士とかで、日本人は英語話せないよね〜とちょっと馬鹿にされたら、ぜひこの本の内容で科学的に反論してください。ヨーロッパの言語同士の近さとはあまりにも違います。(実際言われるこういうの言われることあるので、科学で諭しましょう、ライフハックです)
この比較言語学(?)のAudibleめっちゃ面白かった!おすすめ!
— Hina🧭🇱🇹 (@May69717392) 2024年5月14日
「日本語は同じ人種か!?ってくらい英語と全然違う、でも日本人は気のいい人達だからカタコトで話してもおお〜って優しくしてくれるからイイゾ!うちらが英語話した方が早いし、ってシラケるオランダ人とは違う!」で笑った😂 pic.twitter.com/ShKkJGXn1u
イギリスの歴史・文化編
"Victorian Britain"
イギリスのヴィクトリア時代の文化についてのトークがあるAudibleのThe Great Courseシリーズ。ヴィクトリア時代っていろんな創作のテーマになっているし、知っているときっとイギリス生活が楽しくなる話が満載。ちなみにイギリスの推薦状文化はメイドとかが泥棒と結託して屋敷のもの奪う事件が多発したかららしい。とんでもない歴史ですわね。あとなクリケットがイギリスで盛んなのかの解説もあってよかったです(身分差を唯一飛び越えるスポーツだったらしい)

(おまけ❤️) "Beyond The Wand" Tom Felton著
私ハリーポッターが好きなんですが、マルフォイ好きで。この本はマルフォイ役のトム・フェルトンが書いた自伝で、撮影時代の裏話とかあるのでファンは必見です。タイトルは"杖w超えた先"で、子役としてハリーポッターで活躍したトムが自身の俳優生活を懐古し、クランクアップ後の人生を見つめ直す回顧録。そして、Audible UKだとトム自身がナレーターしてるんです!トムはSurreyというロンドン郊外の街出身なのでバリバリのブリティッシュイングリッシュ。なので、イギリス人ネイティブと話す時は、よくこの本2倍速で15分~30分聞いて、本場のブリテッシュイングリッシュに耳を慣らしてからミーティングに参加するようにしています。内容が面白いだけでなく、そういう裏技的な使い方もできるのでおすすめです。

リトアニアの歴史・文化編
"Between Giants The Battle of for Baltics in World War 2" Prit Buttar著
ソビエトやナチスに占領されていた世界大戦の頃のリトアニアの歴史についての本。あんまりこの辺の歴史って学校でも習わないし、調べようと思ってもあまり本ないんですよね。でもリトアニアだと割と直近の歴史で、独立に関する祝日もあるので、知識が必要。読み応えある本でした、機会あればせひ。

"一冊でわかる東欧史" 関 眞興著
東欧(今はセンシティブなので中欧も含むと言いたいが)の歴史がざっくりわかる本。リトアニアはバルト三国でどちらかというと北欧より(学会とか結構そう)なんですが、やはり歴史を語る上で東欧・中欧諸国との関係は切っても切り離せない。各国の歴史に行くまえに、まずはざっくりこの本で各国の歴史や関連を理解しておくと、より詳しい歴史本に行きやすいと思います。逆にこの本だけだざっくりしかわからないのでちょっと注意。でも高校の世界史であまり学べなかった範囲の歴史なのでとても参考になりました。

最後に
以上おすすめ本でした。逆にこういうので皆さんのおすすめ本あれば教えてください。良い作品に出会ったら随時更新できればと思います。少しでも参考になれば嬉しいです。
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